【コラム】介護の求人原稿、応募が来ない原因は「見せ方」かもしれない ― 書き方を見直す5つのポイント

この記事の要点

  • 介護サービスの仕事の有効求人倍率は3.89倍(2026年8月)。求職者は多くの求人を比べて選んでいる
  • 勤続1年未満の介護職員の21.3%は、求人情報サイト経由で今の職場に就職している
  • 首都圏の福祉の求人原稿を20件以上読むと、「見せ方」で損をしている共通パターンが5つあった
  • 原稿の見直しは、費用をかけずに応募の入口を広げられる採用策である

介護サービスの仕事の有効求人倍率は、2026年8月時点で3.89倍です。職業全体の1.06倍と比べると、求職者1人を約4つの求人が奪い合っている計算になります(厚生労働省「一般職業紹介状況」令和8年8月分)。事業所側の実感も同じで、介護労働安定センターの最新の調査では、65.8%の事業所が「従業員が不足している」と答えています。

一方で、同じ調査には少し意外な数字もあります。介護事業所で働く人に今の職場に就職した経路を尋ねると、「求人情報サイト」は全体では9.6%ですが、勤続1年未満の人に限ると21.3%に上がります。最近入職した人ほど、求人サイトの原稿を見て職場を選んでいるということです。

前回は、現場の「良かれと思って」が経営を傾ける話を書きました。今回は採用の話です。当社ではここ1か月ほど、首都圏の介護・保育・障がい福祉の求人原稿を20件以上、一つひとつ読み込みました。驚いたのは、働く環境そのものは魅力的なのに、原稿の「見せ方」で損をしている例がとても多いことです。よく見かけたパターンを5つ紹介します(特定の法人が分からないよう、内容は一般化しています)。

求人原稿で応募を逃している5つのパターン

1. 一番の強みが、原稿の一番下に置かれている

「代表自身が未経験から入職し、施設長を経て代表になった」「入職後1か月は先輩が必ず同行する」。求職者の不安をいちばん和らげるこうした情報が、ページ下部のメッセージ欄や、仕事内容の末尾の「※」注記に置かれていることがよくあります。スマートフォンで求人を見る人は、上から数行で読むかどうかを決めます。強みは、冒頭のキャッチコピーと仕事内容の1行目に置くのが原則です。

2. 条件の「タグ」と本文が食い違っている

「無資格可」「未経験可」のタグが付いているのに、本文の応募要件では「介護福祉士・社会福祉士等のいずれか必須」となっている。求人サイトの選択式タグは、一度付けると見直されないまま残りがちです。読み手は「結局どっちなのか」と迷い、迷った求人には応募しません。タグと本文は、掲載のたびに突き合わせる必要があります。

3. 手当を並べるだけで、手取りの姿が見えない

東京都では、介護職員やケアマネジャーなどを対象に月1万円(同じ法人で勤続5年目までの介護職員はさらに1万円加算)の居住支援特別手当があり、令和8年度も交付申請を受け付けています(東京都「居住支援特別手当」制度説明資料、令和8年2月)。多くの原稿がこの手当を記載していますが、「居住支援特別手当 20,000円」と項目を並べるだけで、「月給いくらに、どの手当が含まれているのか」が分かる例は多くありません。給与は「資格ごとに、毎月いくらになるか」を1行で示すだけで、比較される場面で強くなります。

4. 仕事内容が「業務の一覧」で終わっている

「身体介護/生活援助/送迎」。業務の列挙は、どの事業所の原稿もほぼ同じです。違いが出るのは、その事業所が大切にしているケアの考え方や、1日の流れです。理念や「できることを奪わない」といった方針が原稿の冒頭にあっても、仕事内容の欄がありきたりだと、求職者の頭の中で両者が結びつきません。

5. 一文に情報を詰め込みすぎている

「週休2日/日勤のみ/夜勤なし◎運転手当1万円、資格手当あり!キャリアアップ可能!」。どれも魅力的な条件ですが、1行に詰め込まれると、スマートフォンの画面では一つも頭に残りません。いちばん伝えたい2つに絞って【】で目立たせ、残りは箇条書きで下に回す方が伝わります。

原稿は、お金をかけずに直せる採用の「入口」

同じ調査では、37.9%の事業所が有料職業紹介所を、36.3%が民間の有料求人情報サイトを使っています。費用をかけた採用策を増やす前に、すでに掲載している原稿の「見せ方」を見直す。それだけで応募の入口が広がることは、決して珍しくありません。

私は銀行員時代、融資の判断のために多くの会社の資料を読んできました。良い会社ほど、強みを相手に伝わる形で示すのがうまいものです。福祉の職場も同じで、働く環境の良さは、伝わってはじめて採用の力になります。

よくある質問

Q. 介護の求人に応募が来ないのはなぜですか?

A. 介護サービスの仕事の有効求人倍率は3.89倍(2026年8月、厚生労働省)と、職業全体の1.06倍を大きく上回っています。求職者は多くの求人を比べて選ぶため、働く環境が良くても、原稿の構成や表現で強みが伝わらないと、比較の段階で選ばれにくくなります。

Q. 求人原稿は、まずどこから見直せばよいですか?

A. まず2点を確認します。一番の強み(教育体制や同行研修など)が、冒頭のキャッチコピーと仕事内容の1行目に入っているか。そして、求人サイトの選択式タグ(「無資格可」など)と、本文の応募要件が食い違っていないかです。

Q. 求人情報サイトは、実際の採用にどのくらいつながっていますか?

A. 介護労働安定センターの「令和7年度介護労働実態調査」では、今の職場に求人情報サイト経由で就職した人は全体の9.6%、勤続1年未満の人では21.3%でした。最近入職した人ほど、求人サイトの原稿を見て職場を選んでいます。

Q. 東京都の居住支援特別手当は、求人原稿にどう書けばよいですか?

A. 東京都の居住支援特別手当は、介護職員やケアマネジャーなどを対象に月1万円(同じ法人で勤続5年目までの介護職員は1万円加算)が支給される制度です。手当の名前と金額を並べるだけでなく、「資格ごとに毎月いくらになり、どの手当が含まれるか」を1行で示すと、他の求人と比べられたときに伝わりやすくなります。

Q. フクノネの求人原稿の無料添削とは何ですか?

A. 合同会社フクノネが、福祉・介護・保育の事業所を対象に、求人原稿を5件まで無料で添削するサービスです。どこを直せば応募が増えるのかを、30分のオンライン面談でお伝えします。

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執筆:合同会社フクノネ
福祉事業者の経営・財務・採用を支援しています。代表は三菱UFJ銀行で約10年間、法人営業・融資を担当し、現在はNPO法人の理事として保育園・児童発達支援事業所の運営にも携わっています。

【出典】

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