【コラム】介護の採用、本当に効果があった方法は? ― 8,899事業所の調査で見る「採用」と「定着」の打ち手
この記事の要点
- 介護職の採用率は14.6%、離職率は12.4%。採用で離職を何とか上回っている状態が続いている
- 今の職場に就職した経路で最も多いのは「友人・知人からの紹介」(33.8%)。紹介を依頼している事業所の47.3%が「採用に効果があった」と答えている
- 勤続1年未満の人では、求人情報サイト経由が21.3%と2番目に多い
- 職場定着に効果があったのは「休暇の取りやすさ」(57.9%)と「人間関係の良さ」(54.6%)
介護労働安定センターが毎年行っている「介護労働実態調査」の令和7年度版が公表されています。全国8,899の事業所が回答したこの調査には、「どの採用方法に効果があったか」「どの定着策に効果があったか」を事業所自身が答えたデータがあります。今回は、その中から中小の法人がすぐに使える数字を拾ってみます。
採用と離職は、ほぼ拮抗している
訪問介護員と介護職員を合わせた採用率は14.6%、離職率は12.4%でした。100人の職場なら、1年で約15人を採用し、約12人が辞めている計算です。採用を止めた途端に人が減っていく構造で、29歳以下に限ると離職率は17.3%に上がります。採用と定着は、どちらか一方ではなくセットで考える必要があります。
採用:費用をかけずに効果が出ているのは「紹介」
事業所が行っている採用活動で最も多いのは「職員に友人・知人の紹介を依頼する」(66.0%)で、行っている事業所の47.3%が「採用に効果があった」と答えています。働く側から見ても、今の法人に就職した経路の1位は「友人・知人からの紹介」(33.8%)です。
有料職業紹介所(効果53.4%)や民間の有料求人情報サイト(同44.8%)も効果は高いものの、費用がかかります。紹介は、職員が「この職場なら友人に勧められる」と思えるかどうかがすべてで、次に見る「定着」と表裏一体です。
なお、この記事の「効果があった」の割合は、その方策を行っている事業所に占める割合です(全事業所に占める割合ではありません)。
求人サイトは「最近入った人」の入口
勤続1年未満の人に限ると、就職経路の2位は「求人情報サイト」(21.3%)です。一方で、事業所ホームページで自事業所のアピールをしている事業所のうち「効果があった」は24.4%にとどまります。発信の場所よりも、求職者が比べる場面で何がどう見えているかが問われていると言えそうです。求人原稿の見せ方については、前回のコラムで5つのパターンを紹介しました。
定着:効果が高かったのは「休みやすさ」と「人間関係」
職場定着に効果があった方策は、「有給休暇などの休暇の取得や、勤務日時の変更をしやすい職場づくり」(行っている事業所の57.9%)と「人間関係が良好な職場づくり」(同54.6%)が上位でした。どちらも7割以上の事業所が取り組んでいますが、効果を実感しているのはその半分強です。「取り組んでいる」と「職員が実感している」の間には差があり、そこを埋めるのが管理者の仕事になります。
まとめ:お金をかける前に、3つを点検する
- 職員が友人に勧めたくなる職場か(紹介の土台)
- 求人サイトで比べられたときに、強みが伝わる原稿か(新しく入る人の入口)
- 休みの取りやすさと人間関係を、職員が実感できているか(定着)
3つとも、大きな費用をかけずに今日から点検できることです。有料の紹介や広告を増やすかどうかは、この点検のあとに判断しても遅くありません。
よくある質問
Q. 介護の採用で効果があった方法は何ですか?
A. 介護労働安定センターの令和7年度調査では、職員に友人・知人の紹介を依頼している事業所の47.3%、有料職業紹介所を使っている事業所の53.4%、民間の有料求人情報サイトを使っている事業所の44.8%が「採用に効果があった」と答えています。紹介は費用をかけずに取り組める方法です。
Q. 介護職の離職率はどのくらいですか?
A. 同調査では、訪問介護員と介護職員を合わせた離職率は12.4%、採用率は14.6%でした。29歳以下の離職率は17.3%と高くなっています。
Q. 職場定着に効果があった取り組みは?
A. 取り組んでいる事業所のうち、「休暇の取得や勤務日時の変更をしやすい職場づくり」は57.9%、「人間関係が良好な職場づくり」は54.6%が、職場定着に効果があったと答えています。
Q. 最近入職した人は、どこで職場を見つけていますか?
A. 勤続1年未満の人では「友人・知人からの紹介」が29.3%、「求人情報サイト」が21.3%でした。
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執筆:合同会社フクノネ
福祉事業者の経営・財務・採用を支援しています。代表は三菱UFJ銀行で約10年間、法人営業・融資を担当し、現在はNPO法人の理事として保育園・児童発達支援事業所の運営にも携わっています。
【出典】
- 公益財団法人介護労働安定センター「令和7年度介護労働実態調査 事業所における介護労働実態調査 結果報告書」(調査基準日 令和7年10月1日、事業所調査 n=8,899) https://www.kaigo-center.or.jp/content/files/report/R7_jittai_chousa_jigyousyo.pdf


